第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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そんなバラカスを眺めながら、ウチは結局2枚目のパンケーキに手をつけた。 だっておいしいんだもん。 さっきはハチミツ。 次はバラカスおすすめ、ジャムをつけて食べるんだ。 モグモグモグモグ……ん、おいし。 あ、紅茶ぜんぶ飲んじゃった。 飲み物のおかわりがほしいなぁ。 バラカスはまだ浸ってるし自分で用意しよっと。 そうだ、次は緑茶にしようかな。 前に現世で岡村が淹れてくれて以来、ウチは緑茶が大好きになったんだ。 パチンと指を鳴らし、ウチとバラカス、2人分の緑茶を出した。 熱いうちに飲むのがおいし。 ふーふーしながら一口飲むと……はぁぁぁ、なんだか気持ちが落ち着くなぁ。 なんてコトをしてたら2枚目も完食。 ごちそうさまでした! あーおいしかったーって、前を視れば巨大なパンダはいまだ瞑想中、んも……長いな。 『バラカス、バラカスってば! 話の続きをしてよ。白雪ちゃんがなんて答えたのか聞かせてよ、』 気になるよ、だって大好きな2人だもん。 うまくいってほしいな、でもな、こればっかりは白雪ちゃんの気持ちがあるから分からない。 でもね、バラカス頑張ったよ。 ウチは途中からだけど、ずっと視てきたんだ。 バラカスがどれだけ白雪ちゃんを好きなのか、それは痛いくらい知っている。 やっと想いを伝えたんだ。 うまくいっても、そうでなくても、ウチはバラカスパパを褒めてあげたい。 『白雪はな____』 うぅ、緊張するよ……自分で聞いといてなんだけど、ちょっと待ってと言いたくなる。 あ、そうだ、緑茶、緑茶を飲もう。 一口飲んで、気持ちを落ち着けて、それから聞くの。 ゴクリ、 はぁぁ、ちょっとだけドキドキがおさまっ……てない。 ウチでこれだけ緊張するんだ、きっとバラカスはもっとだっただろうな。 『白雪は、』 ____わ、私、恋愛ってよくわからなくて、付き合うってどういうコトかもよく分からないの。 だ、だって、生きてた頃、私は一国の女王で、自由な恋愛なんて許されなかったわ。 結婚は国と国を結ぶもの、そういうものだと思っていたし、それに、あの頃は戦が始まって、結婚どころじゃなかったの。 死んでから黄泉に来て、最初の100年は特殊部隊に入って、その後の200年は【光道開通部(こうどうかいつうぶ)】に入って、忙しくて、やっぱり恋愛どころじゃなくて、そ、それに、初めてよ、誰かに……す、好きだなんて言われたの、 ああ、私、どうしたらいいんだろう、 でもね、わ、私、う、嬉しかったわ、だって、その、バラカスは素敵よ、 口は悪いけど優しくて頭が良くて、それに……すごく男らしいわ、 ああ、私、何言ってるのかしら、 だから、その、あの、だから、…………私、恋愛の仕方がわからないの、 だから間違うかもしれないわ、バラカスに笑われるかも…… …… ………… ………………それでもいい? 『ってよーーーーーーーーーーーー!!!』 ぐあぁぁぁぁぁ! ウチの目の前で、バラカスパパはゴロンゴロンと転げまわって、え、ちょっと、こんなバラカス、初めて視た……!
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