第十一章 霊媒師 キーマン

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『そうだ、今の幸せだ。おまえが持っていないもの、それは霊能力だ。これがないから平蔵の姿を視ることができない。だが残念なことに、おまえがどんなに切望してもこの先、霊能力(ちから)が宿ることはない。こればかりは持って生まれた資質だ、諦めろ。そのかわりおまえには神がかった探知能力がある。この先さらにそれを伸ばせ。無いものに焦点を合わせ、自分を否定しまわりを羨んでばかりの人生を歩むことを平蔵は望まない』 「望まない……か」 『そう、平蔵はおまえが笑って、ありのままの自分を肯定するとこを望んでいる。おまえのことをひどく心配している。他の霊媒師と違うから、視えないから、声が聴こえないから、だからこそ、誰よりもおまえを案じてるのだ』 「俺のこと……そんなに……」 『幸せだな、おまえは平蔵にちゃんと覚えてもらっている。愛する人に、大事な人に存在ごと忘れられた私とは雲泥の差だよ……いいか、キーマン。初心を思い出せ、無いものばかりに拘ってブレるな。視えないことを嘆くより、視えないおまえを昔も今も変わらず愛してくれる平蔵に焦点を合わせろ。視えない(些細な)事など捨てて置け』 大事な人に忘れられた……? 大福の言ったことはどういう意味なんだろう? 僕の知らない大福の”傷”なのだろうか……? 『まったく……泣くなキーマン。これから良いものを視せてやる。……おまえ、さっき私に言ったな?” ヴォイスを聴かせるのが精一杯なんじゃないのか?”と、生意気なことを。そして覚えているか?” 私の姿は、今はあえて(・・・・・)視せないだけだ”と答えたことを、』 「ああ、覚えてる」 『おまえの足りないスキルなぞ、私の妖力で余るほど補ってやる____時は満ちた。いざ!私の姿を視るがいい!』 「え…………?……え……?ああ…………!なんだこれは……光ってる……すごく光って……光の中から……あ……ああ……!丸くて……小さ、くもないか……ホワッツ!?AHHHHHHHHHHH!!!ジーザス!!プッ……プッ……プリティーーーーーーーーー!!!」 『くっ!やっぱりこの反応か。だからおまえに私の姿を視せるか否か迷ったのだ、』 「ビーーッグラッキィィィーー!!you!こんなにプリティキャットだったのか!ヘイヘイヘイ!そのフワフワ!そのホワイト!そのジュエリーアイズ!なのに毒舌!ギャップ萌え!ギャップ萌え!ワンランク上のプリティーーー!!」 な、なんか、キーマンさんがめっちゃ騒いでる! しかもプリティプリティ連呼してるということは、もしかして今、キーマンさんは大福の姿が視えてるのだろうか?
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