第十四章 霊媒師 ジャッキー

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◆ 八の字眉で黒十字様にお詫びをしたジャッキーさんは、この1か月のポルターガイスト現象についての説明を始めた。 『黒十字様、去年のクリスマスに、近所の神社で開催された【戦国時代にタイムスリップゥ?赤点コレクター★レキナのもっと歴史の勉強しとけば良かった!丸腰女子高生、秒単位でライフがピンチ!戦火の中であばばばば!!】のイベントに行かれましたよね?』 ちょ! タイトル長っ! 「……はい、行きました。さっき……神社の話が出てたから、なんか関係あるのかなとは思ってたんだけど、それがなにか……?」 黒十字様に幽霊達の声は聞こえない。 ジャッキーさんの話す言葉だけを拾ったのだろう。 少ない情報で心細そうな黒十字様は、クローゼットから出ないまま、ディニエルさんを抱き締めていた。 『よくお出かけになられました、頑張ったんですね』 「ま、迷ったけど、やっぱり聖地だからさ、外せないよ! だけど近所の人に会ったら嫌だなと思って、それで……」 ジャッキーさんと黒十字様の話を総合するとこうだった。 黒十字邸から徒歩10分程度にある神社。 地元なのに正式な名前は知らないが、ココ最近は通称“レキナ神社”と呼ばれている。 集客力の落ちるクリスマス、神社が流行りに乗っかった。 レキナファンの黒十字様は、意を決しイベントに参加すべく家を出た。 近所の人に会うのが嫌だと、キャラのお面にピンクのウィッグ、そして自作の女子高生制服着用といったパーフェクトレキナコスで神社に向かった(そっちの方が目立つような気もするが)。 同日、生者に紛れイベントに参加していたピンクバンダー氏は、一際目立つ完成度の高いレキナコスを見かけ衝撃を受けた。 既製品じゃない……あれは手縫いだ! 設定に忠実な制服の仕上がりに魅了され、イベント終了後、思わず後を着けたのだ。 幽霊だから時間は有り余っている。 ピンクバンダー氏は、パーフェクトレキナコスがどんな家に住んでいるのか、ちょっとだけ覗いてやろう、最初は軽い気持ちだったという。 が、部屋に入れば所狭しと並ぶマンガ、ゲーム、フィギュア、ガレージキットという宝の山と、常時流しっぱなしのアニメや声優ライブDVD。 しかも好きなキャラと声優陣が丸かぶり。 運命すら感じたピンクバンダー氏は、『本当の聖地、見つけた……!』と憑りつく事を決意ちゃったのだ。
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