第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

71/125

2365人が本棚に入れています
本棚に追加
/2550ページ
「ホントか? いっぱい好きか? ずっと好きか?」 「本当だよ、いっぱい好き、ずっと好き。アナタとずーーーーーっと一緒にいたい。いい?」 「…………いい」 「本当? 自分、40のオジサンだよ?」 「ジャッキは確かにオジサンだ、」 「あははは、辛辣ぅ」 「ウチ、年は関係ないと思う」 「そう? ジェネレーションギャップを感じるかもよ? 例えば子供の頃に見た特撮ヒーローのズレとかさ」 「イタリアで日本の特撮は放送してなかったから、ウチ、ワカラナイデース」 「なんで急にカタコトなのよ」 「定型文デス」 「あ、そうきたか」 「ん」 「マジョリカの瞳の色、すごく綺麗だよね。金と青、濃くて深い色合いだ。惹き付けられる」 「瞳? ん、これは家系なんだ。ウチの家族もみんなこうだよ」 「髪も綺麗だよね。どうして黒髪に星が輝いてるの?」 「髪はね、ん………………ウチ、わかんなーい」 「あ、説明するのがメンドウになったな? まぁいいや。今度教えて」 「ん」 「そういえば、寝起きの髪の星が青かったな。青はどういう時になるの?」 「スリープモード。眠い時、眠った時、起きてすぐ」 「へぇ、面白いな。白と赤と青は見た、あとは何色があるの?」 「………………ウチ、わかんなーい」 「またかい、教えてよ」 「今度ね、」 「今度とオバケは、」 「「出たコトがない」」 「あ、ハモった」 「ハモったね」 「マジョリカよくこんな言葉知ってるな」 「黄泉の国(ココ)、当然日本人もいるからな、聞いたコトがあったんだ」 「へぇ、(ちゅうっ)」 「………………!」 「マジョリカ、髪の星が赤くなったぞ?」 「~~~~~~~~!」 「ほっぺも赤いな」 「………………!(タンタンタン!)」 「地団駄踏んでなんかあったか?」 「ジャッキッ(ちゅっ!)」 「……! あぁ……初めてマジョリカからキスしてくれた……幸せだぁ」 「……………………」 「あれ? あれれ? ほっぺが真っ赤だ、照れてるの? キスしてくれてすごく嬉しい、またキスしてよ、自分もするから。2人でいっぱいキスしよう? 毎日キスして、毎晩抱き合って一緒に眠ろう。街に行って一緒に笑って、たまにはケンカするかもだけど、ぜんぶ自分が謝るからね。毎日一緒にゴハンを食べよう、それから一緒にお風呂も入ろう。心配しないで、好きじゃないはずないでしょう? 大好きなんだ、この先ずっと1000年経っても一緒にいたいよ。アナタを傍に縛りたいよ。ねぇ、結婚しよう? その指輪ずっとつけていて、」 「…………え……、」 言霊は静かに発動した。 大袈裟な発光もなく、落雷が起こる事もなく、ただただ静かに発動した。 固まるマジョリカの左手が、緑色(りょくしょく)の光に包まれた。 細い指にクルクル回るシルバーリングが、みるみるリサイズされていく。 ほんの十数秒の事だった。 発光は徐々に弱まり、最後はリングの中に吸い込まれるように消えた。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2365人が本棚に入れています
本棚に追加