第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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~訓練終了3日前、真夜中の弥生視点~ 光る道が消えたと同時、ジャッキーの手にあったローズピンクの花も消えた。 確信はないけど、あれはきっと現世の花じゃない。 黄泉の国に逝った事はないけど、たぶんそこで咲いている花なのだろう。 アタシが今まで呼んできた光る道に、花が添えられていた事なんか一度だってない。 あれは絶対にマジョリカって人からジャッキーへのプレゼントだ。 マジョリカって誰なの? コウドウカウツウブってなんなの? いろいろ想像しても結論は出ない。 きっと黄泉の国の人なんだろうなとは思うけど、ジャッキーはマジョリカって人に”愛してる”と言っていた。 あんなにはしゃいだ声を聞いた事がない。 無性に腹が立つ。 午前1時過ぎ、アタシとジャッキーは家でビールを飲んでいた。 二人ともシャワーを浴びて、後は明日のスケジュールを確認したら、少し雑談をして眠りにつく。 ジャッキーは2階へと消えていく。 それがいつもの行動パターンになっていた。 手短にスケジュール確認をした。 この一カ月は単純作業の繰り返しだ。 心霊スポットに行って、野良幽霊を探す。 ジャッキーは依代フィギュアを遠隔で操って、霊達の対応をする。 行けば大変だけど、今はたいして確認する事なんてない。 それよりも、今夜は聞きたい事がたくさんある。 「もう1本飲んじゃおうかな、弥生も飲むか?」 ジャッキーが珍しく2本目のビールを飲みたがっている。 明らかに機嫌が良い。 ああ、腹が立つ。 「ホラ」 冷蔵庫から戻ってきたジャッキーがアタシにもビールを寄越した。 お礼も言わずに無言で開けてそれを飲む。 ねぇ、なんか言ってよ。 アタシが(ココ)に来て、機嫌が悪いコトあった? なかったでしょ? どんなに疲れてたってアタシは笑ったじゃない。 いつもと違うと思わないの? 今夜くらい気が付いてよ。 ああ、腹が立つ。 「ジャッキー、」 ああ、嫌な声出してるな、でも仕方ないじゃない。 少なくとも光る道をどうして呼べるのか、それは家に帰ってから説明するって言ったのに、いまだなんの説明もない。 アタシが一番聞きたいのはマジョリカって人の事だけど、それだけじゃない、やっぱり全部聞きたい。 「なんだ?」 鼻歌でも歌い出しそうな顔でアタシを見る。 「話してよ、約束だろ? なんで光る道が呼べるんだよ」 まずはココから、いきなりマジョリカの話を出して、逃げられたら元も子もない。 「ああ、そうだった。説明するって言ったよな。実はね、」
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