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「さっきの質問と殺しの依頼が関係あるの?」
女が焦れたように声を荒げる。
私の顔に侮蔑の色が差しているのを感じたのか。
「関係はございます。まさにそこが私の価値なのですから」
「証拠を残さずに標的を心臓麻痺にする殺し屋。そんな怖い男には見えないけれど」
「人を見た目で判断してはいけません」
「それは身に染みて分かってる。それよりも愛人の妻を殺害する方法よ」
それを教えろ、と眼で訴える。
やはり男絡みの依頼か。つくづく女は怖い生き物だ。
「世界で最も価値のある悲鳴で殺します」
「どういう意味なの…?」
「これでございます」
私は植木鉢に植えられた花を差しだした。
「この花がどうしたっていうの?」
陶磁器の植木鉢に咲く美しい花を見ながら訝しむ。
やはり花の美しさを愛でる心の清らかさを持ち合わせていないらしい。
だから愛人の妻を密かに殺害しようと私を訪ねてくるわけだ。
「これは私しか所蔵していない植物なのですよ」
「もしかしたら強力な毒草なのかしら?」
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