人が人を選ぶ時代に生きる苦痛

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「またダメだったかぁ‥。」 俺は郵便物の中の書類を見て落胆した。 俺の名は山下京一。 某有名大学を卒業してから現在就職活動中である。 既に分かると思うが届いたのは不採用通知、またの名をお祈りメールという就活生なら何回も見てきた代物だ。 簡潔に言えばコイツが来たら今までの努力は水の泡ということなんだよ。 かく言う俺は既に大学を卒業した俗に言う既卒生って奴であり、既卒3年目の現在未だ内定0という有り得ない現実に直面している。 筆記試験や適性試験、グループディスカッションは突破できるのだが未だに個人面接、複数面接問わず面接に合格しない現象に見舞われていた。 あまりにも合格できない現実に自分が悪魔にでも呪われているとさえ錯覚してしまう位だ。 しかも今は12月でもう今年が終わりかけているという状況。 飽きるほど通いつめたハローワークには「まだ就職を諦めるな!」「サイトには掲載してない優良企業に会えるチャンス!」などの触れ込みででかでかと貼られているポスターがあるが落ちる所まで落ちてしまうとやる気すら起きなくなるのが俺の本心である。ってかよく今まで頑張ってこれたな俺。 「クソッ!なんで毎回毎回面接で落ちるんだよ!話す内容も想定して準備した!話し方も意識して改善した!入退室などのマナーだって完璧なはずだ!なのに何故!?なんで面接で落ちるんだよぉ!採用担当め、佐藤進なんて日本一多い苗字と普通過ぎる名前の癖に俺を落としやがって畜生!畜生ぉぉぉぉ!」 癇癪を起こしながら文句を叫びながら不採用通知をビリビリ破り踏みつけるがストレスが解消される訳ではなくただ虚しさに余計に腹が立つだけだった。 新卒の際に見下していて奴らや他のランクが低い大学の奴らが内定を貰っているのが苛立ちを加速させていた。
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