第一章・ーさけんだー

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 まいったな。こちらは明日も仕事で、非常に疲れているというのに、どうにもこの些末な問題を先に解決しないと、今夜はもう、休めそうにない。  全く。侵入者は一体何者なのかは知らないが、迷惑極まりないからお帰り願いたいものだ。  さぁ。そうと決まれば、早速排除に向かうとするかな。  暗闇にすっかり慣れた視界で台所を探し当て、包丁を手に取り階段を目指す。  少々手間取ったが、無事に二階へと辿り着く事が出来た。  上がってすぐ廊下があって、両脇に二つずつ扉がある。  突き当たりにも扉があって、古いが部屋数がかなりある、とても広い一軒家なのだ。  さて、どこから探したものか……。  物音がしないか、しばらく聞き耳を立てていたのだか、残念ながら何にも聞こえてはこない。  むしろ静か過ぎて、耳鳴りが酷くなるくらいだ。  段々と苛々してきて、辺り構わず包丁を振り回したい衝動に駆られる。  ……この、すぐブチ切れそうになる悪い癖を治さないと、また、同じような結果になってしまう。  独り身には、この家は広過ぎる。  ……広過ぎるんだ。  だが、侵入者は許さない。排除する。絶対に。許さない。許さない。  包丁を強く握り締めて、適当に手前右手の扉を開けて見る。  ……暗い。  中に入って、部屋を見回しても、以前から設置されている家具以外、何もなさそうだ。
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