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はぁ。まぁ、仕方ないか。この間取りに慣れるのにも結構な時間がかかったし、取り敢えず包丁を強く握り締めてから、残る部屋を物色する。
……いないな。おかしいな。何故誰もいないのだろうか? 確かに声は聴こえたのに、部屋中隈なく探しても、誰もいない。
まさか、一階からの声だったのか?
そう思って一階へと続く階段を目指し始めた時に、再び悲鳴のような声が響いてきた。
……近いな。やっぱり、二階にいるような気がするのだが、何故姿を見付ける事すら出来ないのか。
広い家だ。別の部屋を探索している間に、物音一つ立てずに探し切った場所へと、避難しているのだろうか。
まさかな。物音一つ立てずになんて、到底素人に出来る芸当ではない。
だが、仮にも助けを求めるように悲鳴をあげているのに、探してくれている相手から逃げようなんて、そんな事するのかな?
……。
とにかく探すか。
というかこの部屋。多分久し振りに入ったんだが、何かおかしい。
おかしい。というよりは、……汚れている?
空気も生臭いというか、腐ったような匂いが充満しているし、壁紙も赤黒いシミで、……染まり切っているようだ。
悲鳴は相変わらず続いている。このままでは近所の人に通報されても、何らおかしくはない。
早くどうにかしないと、いけないだろうな。
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