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「テト!こっち!」
と、少し急かすように森の中を進んでいく少女を、テトと呼ばれた少年が追いかける。
「テトじゃなくてテイトだって!」
と、少し不服そうにしながら追いかける。暫く進んでいくと少女は立ち止まり、木に手をかざし呟いた。
「精霊達よ、楽園を守りし者達よ、私達を通して…」
そう呟いた途端、木々の間に光の道が出来た。そして、その道を進んでいく。すると、花々が咲き誇る丘に辿り着いた。少女は少年に自慢するかのように無邪気に笑って言った。
「綺麗な所でしょ?私の秘密の場所なんだ!」
「リン、連れてきてくれてありがとう!」
と少年も明るく笑う。そこでリンとテトは1つの約束をした。もし、離ればなれになってしまったら、この場所で会おうと。それから暫くして、リンは帝国に引渡された。この、エディンバラ皇国の守り手の娘として。皇国一の精霊使いとして…。あの場所でもう一度会おうと言い残し、姿を消した。少年の記憶とともに…。
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