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「うわああああああああぁぁぁぁ!!」
「きゃああああぁぁぁぁ!」
「ひいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!」
『キエエエエエエエエエエエエェェェェヒヤアアアアあぁぁぁ!!!』
教室で起こる悲鳴という物は、すぐに全体に広がる物だ。
そして俺自身もまた、今は悲鳴をあげるしかなかった。
その原因は、突如現れた拳にも満たない大きさのモンスター。漆黒の翼を持ちその羽ばたきはいとも容易く、一瞬で教室を混沌の小箱へと変貌させた。
4限が終わり、高校生が最も輝く昼休みを迎えようとしていた俺たちのクラスに、まさかヤツが、しかも窓から侵入してくるとは誰も予想だにしていなかった。
窓から侵入してきたヤツは教室前方のドアに衝突するとその場に落ち、現在へ至るのだった。
「でかい! 気をつけろ! ヤツは人の顔へ向かって飛ぶぞ!」
「ムリムリムリ! もう私たち全員噛じられて死ぬんだわぁ!!」
「毒あるよね!? 息した時点でアウトだよねぇぇ!」
「死なねえよ! パニック起こしすぎだお前ら! 極端に怖がる必要はねえから!」
流石に異常なほどに悲鳴が上がったため俺が一喝を入れる。
「ツッコミぃ! じゃあお前がどうにかしろよぉぉ~」
「いつも冷静なお前ならどうにかできるだろぉぉ!」
「ヤツにもいつもの左裏ビンタぶちこんでやれよぉぉ!」
「無茶言うな! 直接触るなんてしたら気失うわ!」
常識人ぶりから普段からツッコミと呼ばれる俺だが、今はパニックでそれが冴えてない気がする。
「常識人ならなんかあるだろ! 丸めたプリントとかでさぁ!」
「いや、俺普通に近づきたくねえし。普通に汚ねえよ」
「どうすんだよぉ! あの悪魔ぁ!」
できないことがあるからこその一般人なんだ。買い被られても困る。
ヤツを確認するが未だ前方ドアの前を封鎖している。
全員が離れた教室の対角に固まっているからか、飛ぶような気配は見せない。
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