0人が本棚に入れています
本棚に追加
第 1章
東京郊外にある小さな街で、ある事件が
続いている。
それは、連続放火事件である。
ここ最近、毎日の様に民家での火事が
起きている。
放火魔の仕業なのだが、とうとう
犠牲者が出てしまったのだ。
橋本國彦という、観光誘致運動に反対する
反対派の会長だったのである。
というのも、ここF市は小さい街ながら、
江戸末期に建てられた古民家や重要
文化財の寺社が多数あった。
それに伴い、主な産業は観光によって
成り立って来たのだ。
だが近年、長引く不景気で観光客の
減少傾向に歯止めがかからない。
10年前から減少傾向が続き、市が
緊急対策本部を立ち上げた結果、
観光誘致施設の建造に話しが纏まった。
その目玉として提案されたのが、
お子様パークという施設だった。
老若男女誰でも楽しめる子供の為の
総合施設、市長の肝入りだ。
地元の不動産と建設会社も、全面協力
という形になった。
ところが、一部の反対住民が徹底抗戦に
打って出る。
施設を造るには広い土地が必要だ、
狭い土地に東京ドーム一個分の
テーマパークを創ろうと言うのだ。
その土地を確保する為に、20戸の民家を
潰さなければならない。
どうしても、家を潰さないと建設は
着工出来ない。
市と住民による話し合いの場が何度も
持たれたが、頑なに断り続けた。
しかし、立ち退きを強制された住民
だけでなく、次第に他の賛同者を
巻き込む事に。
最初のコメントを投稿しよう!