第 1章

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『ご主人様、午前7時です。 起きて下さいご主人様』 まだ眠いのを堪えながら身体を起こす、 自宅に戻ってまだ数時間しか寝ていない。 いつものようにコンビニで買ってきた カップコーヒーを飲み、トーストを 口に頬張る。 いつものように・・・。 昨夜自宅に戻ってからは、エスパーは 余り喋りたがらない。 「どうしたの?口数少ないけど」 それでも、エスパーは黙ったままだ。 まあいいや上手くいった、あれだけの炎な ら証拠は何も残っていないはず。 これで、報酬100万円が手に入る、 ちょろいもんだ。 思わず、明がほくそ笑む。 「エスパー、ワンセグ」 『分かりました、ご主人様』 スマホ画面がワンセグに切り替わり、 テレビのニュース番組が映し出される。 (昨夜午前3時頃、寺沢正樹さんの自宅で 家事があり、自宅が全焼しました。 この火事で1人の焼死体が見つかり、 ひとり暮らしの寺沢さんではないかと 見られています。 警察の調べでは、自宅周辺にガソリンが 撒かれた痕跡がある為、放火魔事件と して調べています。 寺沢さんは、F市が進める施設建築を 巡って反対派の代表でした) 明がスマホのスイッチを切ったその時、 玄関のドアをノックする音が響く。 「こんな朝早く誰だ?」 玄関まで行きドアスコープを覗くと、 2人の男性が立っている。 なんの疑いもなく扉を開けると、 50代と思われる初老の男と、部下らしい 30代の男2人だ。
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