第三話 平成子(ひなこ)の悲鳴

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俺は仕事の休憩でコンビニに行った帰り、ひなこの母親が取り乱して店を飛び出して行くのが見えた。 店には隣のテナントで緒方と言う、椅子の修理を行うおじさんが一人で居た。 俺は店に入って尋ねた。 「どうしたんです?」 「……貴志君。道木さん、一緒に行ってあげて、てんりちゃんがお父さんが息……してないって。俺、ここ残ってないと……」 緒方のおじさんの声の後、キーンと耳鳴りが聞こえた。 ひなことてんりの母親の悲鳴の様だった。 俺は、店を飛び出して、数年前から道木一家が近所に住まいを移した自宅に向かった。 自宅の前には救急車。 玄関には取り乱すてんり。 中では駆け付けたばかりの救急隊員の前で、ひなこの父親に心臓マッサージしている母親の姿があった。 目の前で、処置を救急隊員が変わり、蘇生措置を行った後、搬送された。 福岡の繁華街のど真ん中にある総合病院に搬送される事になり、その場に居合わせた事もあって警察の取り調べもあると言われ、俺はひなこの母親と妹と三人で病院に向かった。
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