第1章

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「ですから、私が彼を生き返らせてさしあげようと言っているのですよ」 ニコニコと微笑みながら話す人物。 悲しみにくれる遺族の前で、なんとも不謹慎であれど、それを咎める者はこの場にはいない。 「ほ、ほんとに? ほんとに時男が生き返るの?」 絶望の縁で希望に出会った人は強い。 その希望を掴むために、何でも出来る。 今の道子がまさしくそう。 「ええ。 簡単な事です。 誰かが代わりに死ねばいいのです」 笑いながら、平然と言ってのけた人物。 その手には、いつの間にかナイフがあり、ゆっくりとした動作で道子の手に渡される。 その刀身を見詰める道子には、もはや"時男を生き返らせる"以外の事はない。 「すみません。 そろそろお時間ですので……」 霊安室の扉を開けてやってきたのは、一人の看護士。 その看護士を視界に捉えた瞬間、道子は躊躇いなく看護士を手にしたナイフで刺した。
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