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「ですから、私が彼を生き返らせてさしあげようと言っているのですよ」
ニコニコと微笑みながら話す人物。
悲しみにくれる遺族の前で、なんとも不謹慎であれど、それを咎める者はこの場にはいない。
「ほ、ほんとに?
ほんとに時男が生き返るの?」
絶望の縁で希望に出会った人は強い。
その希望を掴むために、何でも出来る。
今の道子がまさしくそう。
「ええ。
簡単な事です。
誰かが代わりに死ねばいいのです」
笑いながら、平然と言ってのけた人物。
その手には、いつの間にかナイフがあり、ゆっくりとした動作で道子の手に渡される。
その刀身を見詰める道子には、もはや"時男を生き返らせる"以外の事はない。
「すみません。
そろそろお時間ですので……」
霊安室の扉を開けてやってきたのは、一人の看護士。
その看護士を視界に捉えた瞬間、道子は躊躇いなく看護士を手にしたナイフで刺した。
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