52人が本棚に入れています
本棚に追加
『相場へ
私をここまで探してくれてありがとう。
おそらく相場は、相当怒っていると思います。
でも、どうしてもあの時の私は貴方の気持ちを受け入れられなかった。何度も何度も告白に来てくれるという覚悟を読み取って、もう会わない方が良いと思ったんだ。本当にごめんなさい。
今でも私の心には『Black House』の恐怖が残っています。そして、今も知春から呪いを受けています。だから、貴方の気持ちに応えるわけにはいきません。
もし、このメッセージを読んだのなら、相場は私ではなくて、次の恋を探してください。こんな断り方で申し訳ないです。
私を好きになってくれてありがとう。』
俺は読み終わるとゆっくり顔をあげた。
緒方さんは顔を歪める。
「これが今の中野香夜の気持ちです」
俯きがちに言う彼女は泣きそうになっていた。
赤木が心配した表情で緒方さんを見つめている。
俺はもうどうしたらいいかわからなかった。
中野香夜の居場所を知っている人がいる。でも、中野ちゃんの気持ちを見てしまった。どうすればいいのかわからず、沈黙する。
最初のコメントを投稿しよう!