第六夜

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『相場へ 私をここまで探してくれてありがとう。 おそらく相場は、相当怒っていると思います。 でも、どうしてもあの時の私は貴方の気持ちを受け入れられなかった。何度も何度も告白に来てくれるという覚悟を読み取って、もう会わない方が良いと思ったんだ。本当にごめんなさい。 今でも私の心には『Black House』の恐怖が残っています。そして、今も知春から呪いを受けています。だから、貴方の気持ちに応えるわけにはいきません。 もし、このメッセージを読んだのなら、相場は私ではなくて、次の恋を探してください。こんな断り方で申し訳ないです。 私を好きになってくれてありがとう。』 俺は読み終わるとゆっくり顔をあげた。 緒方さんは顔を歪める。 「これが今の中野香夜の気持ちです」 俯きがちに言う彼女は泣きそうになっていた。 赤木が心配した表情で緒方さんを見つめている。 俺はもうどうしたらいいかわからなかった。 中野香夜の居場所を知っている人がいる。でも、中野ちゃんの気持ちを見てしまった。どうすればいいのかわからず、沈黙する。
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