中野香夜

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「どうして……。どうしてよ、香夜……」 携帯を両手で包みながら、山口さんは俯いた。泣いている。中野ちゃんがいなくなって心配だ。 いつもそうだ。 中野ちゃんは、一人で考えて行動して、みんなの迷惑にならない最善の方法をとる。俺たちが心配するとかそういうのは関係ない。 おそらく、周りが傷つくのが耐えられないのだろう。 山口さんが落ち着いた後、お互いに何かわかったら連絡すると確かめあって、別れた。 俺は電車に乗りながら、考える。 携帯を弄っていると、『BlackX'mas』のニュースがあった。何気無くそれについて開いてみる。 『12月下旬にあった事件の初公判が行われた』 そんな内容だった。そういえば、証言を検察に頼まれたことを思い出した。 地裁に行って、被害者なのに質問受けて答えて……。 その結果が出たのか。 宮城野知春は懲役3年。 黒羽勇次(執事)は無期懲役。 立花功(料理人)は罰金25万円。 シェフはあまり何をやったわけじゃない。ただ、共犯として罰金刑になったようだ。 執事は俺を刺したこと、何より前科があることから、懲役が長いようだった。
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