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世間で『BlackX'mas』の名前で知られている『Black House』での事件から、2ヶ月半が経った。
中学時代にいじめに遭い、そして、高校でいじめられていると勘違いした女子による復讐事件。
俺はその事件の被害者だ。
犯人の宮城野知春に加担した殺人鬼に刺された俺は、1ヶ月の入院を余儀なくされた。
時間の流れは早いもので退院からもう2週間。
俺の高校生活は徐々に平穏さを取り戻しつつある。退院直後は、それはもう周りが騒いで仕方なかったけど。
でもそのなかに、俺の大好きな顔はない。
知ってはいたし、本人に直接聞いたから、当た前なんだけど、彼女がいない、それだけで戻ってきた高校生活は色褪せたように見えた。
俺が好きな女の子、中野香夜は『BlackX'mas』の被害者。彼女は宮城野になにもしていない。むしろ、いじめを助けていた側なのに、ひねくれた愛憎に深く傷つけられていた。
俺がメールを送った先は、まさに、中野香夜だった。
『中野ちゃん、元気にしてる?
新しい環境には慣れた?
俺は退院して2週間、やっと落ち着きました。
中野ちゃんと遊びに行きたいんだけど、空いてる日とかってある?』
届かなかったメールを見つめる。
さらっと打って、送れたのは、きっと両想いだってわかっていたかだ。
俺たちはお互いの気持ちを知っている。キスまでしたなかだ。でも、事件のせいで深く傷つけられた中野ちゃんは、俺に迷惑をかけたくないと付き合いを断ってきた。
何度だって告白してやる。
そう思ってたけど、拒否られた。
あー、照屋の提案に乗るんじゃなかった……。
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