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「多分、メアド変えたんじゃないかな。メール届かないの。花梨も千夏もショック受けてる」
花梨と千夏……、俵さんと藤元さんのことだ。この二人もソフトボール部のメンバーで、中野ちゃんと仲が良い。
そして、この三人もまた『BlackX'mas』の被害者である。
俺は額に嫌な汗をかくのを感じた。
正直、俺だけ拒否られたわけじゃないという安心感もあるけど、それより、まさか事件に関わった人、全員と縁を切ろうとしているんじゃないかという不安感にかられる。
そうなると、もう二度と会えない可能性だって出てくる。
何故、彼女がこうせざるを得ないのか。それには理由がある。宮城野は中野ちゃんに歪んだ愛を持っている。同時に中野ちゃんの魅力を憎んでもいて、中野ちゃんを何がなんでも手に入れたいと思っていた。
事実、中野ちゃんは一度、俺たちを解放するという約束のもと、宮城野に監禁されている。
結局その約束は裏切られたんだけどな。
だから、中野ちゃんは親しい人が狙われるのを極端に恐れるようになったんだと思う。両想いに関わらず、俺の告白を断ったのも、それが原因だ。
となると……、嫌な予感が働く。
あんなに仲の良かった山口さんも例外じゃないはずだ。
山口さんを守りたいからこそ、中野ちゃんは縁を切っている可能性がある。
しばらくして山口さんからメールが返ってきた。内容は案の定だった。
『メールありがとう。無事に退院したようで、良かったです。もう安心だね! で、香夜のことなんだけど、私もメールが届かなくて困ってます。花梨ちゃんたちも同じこと言ってたし、相場くんもそうなら、ちょっと不安だね。……どうしよう』
山口さんでさえ、メールが届かない。やっぱりか……。
頭が痛い。
こんなことなら、新しい環境の場所を教えてもらっとくんだった。
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