第六夜

2/20
前へ
/155ページ
次へ
俺は大学に入学してから、とにかく必死で勉強した。 中野ちゃんは見つからない。 もう忘れよう。忘れてくれ。 そう思ってひたすら勉強に熱中していたんだと思う。 大学生活ももう少しで2年が経とうとしていた。 大学2年の1月、成人式を迎えた俺たちは、高校のメンバーと同窓会をやろうということになった。 成人式の日はほとんどの人が中学の同窓会があるということで、大学の試験も考慮して、高校の同窓会は3月上旬にやることになった。 同窓会には色んな奴がいて、そのなかで久しぶりだったのは南条だ。『Black House』以来、あまり会話をした記憶はない。 そもそもあまり接点はなかった。 南条を見て驚いた。 なんかくそ真面目そうだったのが、ちょっと垢抜けたな。 南条は見事に爽やかな大学生になっていた。 「久しぶり」 「久しぶり。お前、変わらないな」 俺のどこを見て変わらないと言ってるんだろう。 今の俺は多分、目の前の南条よりガリ勉だと思う。 「お前は……ちょっと変わった?」 「まあ、いつまでも勉強だけじゃな」 やっぱり、大学生ライフを楽しんでるのか。 「相場はまだ中野探しをしてるのか? 加藤が心配してたぞ」 加藤と南条は同じ大学に行っている。二人とも法学部。そこで、そんな話になったんだろう。 「もうしてない。見つかんねぇよ」 そういうと、南条は少し残念そうだった。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加