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やっと尻尾を掴めた。
中野香夜が通っていたと言われる通信高校の前に来て、俺は唾を飲む。
こんな大学生が怪しくないか? 高校の時は制服に守られてたけど、今は私服。しかも一人。
最悪、警察を呼ばれることも考えた。
生徒が出てくるのを待っていると、玄関ではなく、離れのようなところから男女のグループが出てきた。
今まで見てきた中で、一番まとまりがない。でも、そのなかに一際目立つ女の子がいた。
雰囲気がもうそれだった。
「中野ちゃん!?」
言ってから気づいた。
中野香夜じゃない。
別人だった。
「お前の知り合い?」
「え、違うけど」
「何々、百々ちゃんモテ期!?」
「モテるわけないだろーが! あたしが!」
中野ちゃんと間違えた人物は確かに中野ちゃんに雰囲気が似ていた。
彼女の口調は乱暴だけど、周りから慕われそうな雰囲気を持ってる。
中心で人を引っ張っているように見えたのは間違いじゃないと思う。
「……あ、すいません。人違い……でした」
顔が一気に紅潮する。恥ずかしい。この人たちは、中野香夜の名前は知らない。
だから余計に怪しまれたはずだ。
百々ちゃんと呼ばれた人物は首をかしげた。
「学校に何か用ですか?」
学校の玄関に立っていたからそう思ったのだろう。この状況をどうしようか考える。
いや、ここは素直に話そう。そう決心して、口を開く。
「実は今、人探しをしていて……。……君らって中野香夜知ってる?」
そう聞くと、シーンとした。
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