第六夜

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いや、わかってる。中野香夜じゃ伝わらない。 俺は最近流行りだしたスマートフォンを取り出して、画像を出した。 ますます不審な目で見られる。 「あのさ。みんな、先戻ってて?」  俺が出した画像を見る前に、中野ちゃんと間違えた女の子が言った。 命令のように言う百々ちゃん。とても百々ちゃんという柄じゃない。 とんでもなく不良少女に見える。 不審になりながらも、みんな彼女の眼圧に負けて学校に戻っていった。 ただ一人だけ、 「俺残る」 と、不良少年が言った。 「は?」 「あの話だろ? 俺も聞いてたし」 と言って、その場に不良はヤンキー座りした。 とても信用されているようには思えない。 むしろ、この百々ちゃんを守ろうとしているのがヒシヒシと伝わってくる。 百々ちゃんは、この不良が何をしたいのかわからないらしく首をかしげた。こんなところも中野香夜に似ていると思った。
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