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「……あの。ここでは何なので、カラオケ行きませんか?」
迷ったようだったけど、ここでは言いづらかったようだ。
カラオケということは、密室での話にはなる。情報が漏れるのを恐れたのかもしれない。
俺は頷くと、緒方さんは鞄をもってきた。仏頂面の不良も一緒でなんだか居心地悪い。
カラオケボックスもそんな広くなくて、妙に緊張した。緒方さんはどこから話そうかと迷っていたが、飲み物が来たところで、話始めた。
「中野香夜の名前で聞いたってことは、今の名前はご存じないんですよね?」
「教えてほしい」
「……今は、古谷笑美といいます。私、笑美先輩には仲良くしてもらってたんです。でも、事件のことは知らなくて……。相場さんも被害者でよね?」
「え、ああ。そうそう」
事件のことを知らなかった彼女はどうやって中野ちゃんから『Black House』のことを知ったんだ?
顔を伺ってくるということはどういう事件だったか知ってるのは明白だ。俺は相づちを打ち、続きを待った。
「ある日、保健室で笑美先輩がすごく泣いていたんです。私、ちょっと具合悪くて保健室にいて、あと、赤木もサボりでいて、その事情を聞いたんですよ。本当は聞いてほしくないって言われたんですけど、私は心配だし、赤木は聞く耳持たないから、『BlackX'mas』のことを話してくれました」
隣でコーラーを飲みながら、不良はスマホを取り出す。
この不良は赤木というらしい。
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