第六夜

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「で、宮城野さんから脅迫メールが届いたって」 「宮城野から!?」 「悪魔に魂売ってでも、香夜を迎えにいくって。でも、そのときには中野先輩はメアド変えていたし、携帯番号も変えてたから、不可解すぎて、号泣してました」 宮城野から、そんなメールが来ていたのか。懲役三年だったから、去年釈放されている。そのときに何かしらの方法で中野ちゃんのメアドを手に入れて、メールを送ったのかもしれない。 顔を暗くしながら緒方さんは続ける。 「そこから、先輩は『私には関わらないで』、って言いはじめて……。何か聞けば、宮城野は私の親しい人を呪いにくるって言ってました。その事情を聞いたときに相場さんや山口さんの名前があがりまして……」 「それで、俺のことを知ってたのか」 俺は今もまだ、中野ちゃんが苦しんでいることを知った。 「笑美先輩は、誰も知らないこの通信高校でやり直すはずだったみたいなんですけど、結局メールが届いて、パニックになっちゃって……。そのあと、一度も学校に来ないで、単位に必要なレポート提出だけして卒業しちゃったんです」 ということは、ここで話は途絶えたということになる。 ここまで辿り着いたのに、なぜ、神様はこうも意地悪なんだ。 拳を握った。 結局、目の前の緒方さんも突き放したのか?  中野ちゃんは苦しんでる。 今すぐ会って抱き締めたい。
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