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ところが、緒方さんは、ケロッとして、俺に言い放つ。
「ここまでは、周りが知ってる話です」
その話に、首をかしげる。どういうことだ?
「ここからは、漏らしちゃいけない話なんですけど……」
と言いながら見たのは俺ではなく隣の男子、赤木だ。
「俺が聞いたところで誰にも漏らさねぇよ。安心しろ」
「これ、聞いたのバレたら、あんたが大変なことになるの!」
「てことは、お前も危険ってことじゃん」
ハッと笑って緒方さんを見る赤木。
図星だったのか、緒方さんは少し困った表情だった。
「お前、そんな危険な情報持ってんじゃねぇよ」
「宮城野があたしに気づいてるわけじゃないから大丈夫。それよりあんたがヘマしないか心配なの!」
「しねぇよ」
軽くあしらわれて緒方さんはむすっとした表情を浮かべる。
ああ、友達を守りたいというのも中野ちゃんにそっくりだ。
自分に似た彼女と仲良くなるのは、ちょっとわかる気がした。
赤木も緒方さんを守りたいという姿勢だ。俺はここまでかな、と思って口を開く。
「そんな危ないなら、俺、聞かなくてもいいよ?」
嘘だった。
本当はすごく聞きたかった。
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