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”ただいまぁ！”
”あぁ、おかえりなさい、美咲さん！”
”今日も急に延長お願いしちゃってごめんなさいねぇ、静香さん。
あの子いい子にしてた？”
玄関先でせわしくスカーフと靴を脱ぎ捨てながら、
リビングへ急ぐ。
”マミィ！！！”
お花畑に花が咲いた。
スプーンを振り上げながら
喜びを体いっぱいで表現する。
”いい子にしてたのぉ？ りょう君”
ほら、プリンがたくさんこぼれちゃったじゃない”
美咲の首に抱きつく５歳児の腕をやさしく
ほどきながら、小さい額にかかる前髪を
かき分けて、瞳を覗く。
つぶらでまん丸のお目目ね。
”マミィ、きょうはしずちゃんといっぱい遊んだよ！”
”何して遊んだの？”
”えっとねぇ、あのぉっ、なんだっけ、
あれ、橋でなんとかするやつ...
ねぇ、しずちゃぁーん！”
台所で忙しくしている家庭教師兼ベビーシッターの
静香さんへ助けを求める。
”ふふ。 ロンドン橋お・ち・た、ね？
今日は英語のお勉強したのね、えらいねぇ。”
よし、よし
愛息の頭をなでた手でりょうの小っちゃくて
温かい手を取って、台所へ向かう。
”今日はりょう君の好きなクリームシチューですよ”
にこにこして静香さんが二人を迎えた。
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