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目覚めた時、日は暮れ始めていた。
空は真昼の出来事を恥じて夕焼け色になっている。
どうやら居眠りをしていたみたいだ。
我が家に戻ることにした。体が埃っぽく、なんだか懐かしい。
電磁バイクに乗って自動運転に切り替え、夕焼けを楽しみながらゆっくり走っていると、当たり前だが人間の乗っている車は走っていない。
夢の中にいるみたいだった。
だれもが子供の頃に一度は憧れる無人の世界を堪能できた。わずらわしい人間同士の駆け引きが存在しないこの空間は、ゲームの主人公にでもなれた気分を与えてくれる。
ただし工場や農地、港から食品を自動的に運ぶ保冷車とは何度かすれ違った。街角を無音で走りぬけて各住宅に新鮮な食べ物を今も届けてくれている。
保冷車が住宅の前に停車すると、主のいなくなった家からは、いつも通り冷蔵庫が玄関まで迎えに出て、二本のアームで新鮮な食材を腹にしまいこんでいた。
お金など必要ない。人間が住んでいた時からそれは同じだ。人間として生きる上で、最低限の生活レベルを保持するために必要な食料品は、国が保障してくれているからだ。
冷蔵庫は自動的に移動すると、新鮮な食材を受け取ると同時に、賞味期限の切れた食べ物を玄関に置かれた生ごみ用のバケツの中に放り込んだ。
すると今度は腐った食品やゴミを回収する自動車型の衛生ロボットが接近する。あとは任せておけば、彼らが町をクリーンにしてくれる。
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