神嫁になった兄

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 わたし小池月子の日課は、兄を沈めた御池に石を投げることである。  薄暗い山道を雨の日も風の日も、ひたすらに通いつづけた。始まりは罪悪感から。御池が兄を飲みこんだ、その責任転嫁から衝動に任せて石を投げた。もはや意地であった。七歳から二千九百日余り。気がつけば八年の月日が流れていた。
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