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私の目の前にある数字は「犠牲になれ」という暗号だ。 未来は決まっている。 近い将来、私は死ぬだろう。 問題は、終わりをどう受け入れるか、すなわち、終わり方だ。 笑って死んでいった人達はきっと「良い」終わり方を選んだのだろう。 狂気でしかないが、狂わないと生きていけないのが現代だ。 数字ごときに人様の人生を定められてたまるものか。 パソコンのモニターに浮かぶ無数の数字の羅列は語る。 「お前が一人抵抗したところで何も変わらない。お前は所詮、1でしかないのだから。だから、お前という一人の人間が犠牲になろうがならまいが我々にはどうでもよいことだ。真に重要なのは、1が1の仕事をするかどうかであって、1の中身はどうだっていい。代わりはいくらでもいるのだから」 数字にすら必要とされない人間だとしたら、生きている意味がないと思えた。 文句だけは一人前だが、「現状を変えようと動いたか?」と問われれば、何もしていない屑に成り下がっている私。 私も数字に逆らえない弱者なのだ。 こんな世界は間違っているのかもしれない。 本当はみんな気づいているのかもしれない。 それでも、もうヒトの力ではどうしようもないくらい数字の力が膨れ上がってしまって諦めているのかもしれない。 ヒトは数字に屈してしまった。 数字様が定める世界では数字様を崇め、数字様のために命を捧げないといけない。 その見返りに人は裕福な生活を手にすることが出来る。 とうとう神様は具現化したらしい。
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