序章

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今はデータ入力のアルバイトも 丁度閑散期で仕事はお休みの毎日だった。 「MBA、中小企業診断士、税理士、柔道4段、 剣道3段 合気道2段、 事業部長の肩書き・・・・ ビジネス資格や企業のポジションや 武道の段なんてあったってな、 もはや西暦2019年の世じゃクソの役にも 立たんのだよ・・・・。 もうAIの独壇上だよな。 俺の脳みそも身体もいっくらいっくら鍛えたって テクノロジーには勝てないんだよ。 AIを信じよ、AIとともにあらんことを。」 堤防の芝生の上にスマートフォンを叩きつける隼人。 スマートフォンのモニターには3ヶ月前の事業部長昇進祝いに と部下が開いた ゴルフ大会の集合写真や 会社の忘年会や新年会などのスナップ写真が表示されていた。 もう戻れない、もう帰れない過去だった。 居酒屋、ゴルフ場、カラオケルーム、キャバクラ、パチンコ、 野球場、消費者金融・・・・ あらゆる社交場、遊技場と言われた 店や施設は需要が限りなくゼロに近くなり殆どが姿を消した。 代わりに現金収入がなくなるあるいは 激減した世帯が土地を耕し作物を育てて 食糧生産に励むようになった。 撤退した居酒屋や消費者金融の店舗には 農作物の直売や種や苗を売る店が替わりに入った。 ドーム球場、サッカースタジアム、陸上競技場などは 全て取り壊されて農地になり 米や芋などが作付けされていった。
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