ひとつのカノウセイ

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映画が終わりだんだと明るくなっていく劇場 顔を伏せて足早に去っていく足音 カツカツというヒール特有の音 ドスッドスと床を踏みつける音 感想を言い合う若いカップルの声 ザワザワとした音が完全に静寂に包まれてから 私と彼は席を立つ。 それが彼との約束。 最後に席を立つのを約束するならホラー映画でも一緒に観にいくとそう彼は言った。それが何故なのか彼は理由を教えてくれない。 否、それを聞いたら彼がもう一緒に観に行ってくれない気がして聞けない。 弱虫で怖がりなのはワタシの方なのだ。
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