TK=Town King grew up(里帰り)

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リーナはひとり、楠の前にたつ。 思い出して、カラーコンタクトを外す。 あたしはこの村のつがい。 誇りに思う。 この村を楽園にした。あたしが。 楠から少し離れて、下から幹を見上げる。 少し枝振りがさみしい気がする。 村長、亡くなったんだ。 ギンガがミヤの代わりに村長に。 ミヤとの年齢差、10年がここでも、あたしをおいて進んでる。 ギンガのお姉ちゃんの子供は来年小学生。 あたしより2歳下だったアノも、去年結婚。 見上げたまま、その場に座る。 カジマよりも先に結婚式あげるって思ってたのに。 どうなるかわからないものねぇ、人生。 ぼーっと見上げてた空に、突然ミヤが覗き込む。 「やっと、自由になった?」 うふふ。 「ミヤ。」 「うん?」 「好きよ」 ミヤがふふ、と微笑む。 ミヤの両手を自分のウエストに回す。 自分の両手を楠に当てる。 「はっ!」 自分の楽園で錫杖なんて、不要。 一瞬で広場中、村中の魔方陣を呼び覚ます。 あーあ、魔方陣の上に店ができちゃってるよ。 魔方陣に光が灯る。そこから時折蛍のような光の点が楠に集まる。 小声で大詠唱を始める。 次、いつ里帰りできるかなんてわからない。 後ろからミヤに抱き締められる。
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