TK=Town King grew up(里帰り)

5/22
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「あ、カナムイ」 歩いてるカナムイを上から見下ろすなんて。 「ポニーの1日乗馬体験みたい」 ひどい。 「お前、本当に表紋頂こうという気があるのか?」 ミヤがあきれてるけど、さっき同じこと、あたしに言ったよね? 「あるある」 「気が変わらないうちにもらっておいた方がいいよ」 「え」 「まじで」 「やったー!ちょーだいちょーだい」 え。 「そんな軽いノリなの?」 「勢いでもらおうかと」 ……。 そもそも、どういうノリで貰ったりあげたりしてるのかわからない。 とりあえず、リーナの意思とは関係なく笑之助の後を幸之助が追って、厩舎に入って行く。 ミヤはさっさと馬から降りているので、リーナも馬の背中から滑るようにごそごそと降りる。 「今、矢が当たったら死ぬでー」 カナムイに急かされる。 当てないでください。 鞍はそのままで、いつもの専用場所に二頭は繋がれる。 表紋がもらえると思って、カナムイは側を離れない。乗馬用の小さい鞄から油性ペンを出す。 「カナムイ」 キャップをキュッと外す。 「剣、出して」 カナムイが不安げに刀を差し出す。 「どこに表紋、つけるの」 リーナは場所を探す。 「え、油性ペンで?」 「間に合いそうになくって」 刃が平らになっていそうなところに、六角形を書く。 「え、そこ?」 無視して、二重線にする。 「ええええー」 無視して、真ん中に桜を書く。 「できた」 不満げに表紋を見つめるカナムイ。 油性ペンのキャップをつけて、ミヤに渡す。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!