TK=Town King grew up(里帰り)

9/22
前へ
/25ページ
次へ
ミヤとギンガは、村の真ん中にある楠の前に立つ。 「村の中心は、ここから徐々に移動してる」 「観光客が増えて、少し離れた田畑を潰して」 「そっちに店を出してる」 「こっちには観光客の騒がしさが嫌なじいさん連中くらいしか」 「残ってない」 静かに楠の葉が揺れるのみ。 この村にいるはずのつがい。 「前村長の葬式も」 「お前の就任も」 「欠席で、ごめんな」 「お前いたら、村長なれねーよ、オレ」 ミヤは、確かに、と笑う。 ミヤは、楠にそっと触れる。 この楠の廻りに、数えきれないほどの魔方陣。 忘れられない"冬"の記憶。 楠から少し離れて、下から幹を見上げる。 この村の本当の守り神。 だと、思う。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加