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「ねえ、孝弘は祐樹さんのどこが好きなの?」
「なんだよ、急に」
夜の9時に営業を終えた店内でレオンとふたりで商品を揃えているところに、唐突な質問が飛んできた。顔をあげてレオンを見ると、いたずらっぽい目をしているが、からかっているわけではないらしい。
どこか犬っぽい上品さを備えた顔立ちと明るい性格は、あまり人に警戒されないようで、レオンはどこに行ってもたいてい受け入れられる。会社を経営するのにとても向いていると孝弘は感心するほどだ。
「だってさ、確かにきれいな人だけど、孝弘はずっと女の子とつき合ってたんでしょ。だから、あの人のどこを好きになったのかなあって思ってさ」
レオンから祐樹のことをあらためて訊かれるのは初めてで、ちょっと返答に困る。
「どこってべつに…。なんとなくいいなっていうか、気になってたっていうか…、気がついたらもう好きだったって感じで」
落ちるときはそんなものだ、と孝弘は祐樹を好きになって実感した。
過去の恋愛を振り返って、女の子とつき合うときはかわいいからとかやさしいからとかそういう理由が比較的はっきりしていたと思う。
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