君の隣が苦しくて

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耳元にかかる吐息に、赤井の頬は紅潮する。声の震えはもう抑えられなかった。 「き、黄瀬…!」 「んー?なに?」 赤井は息を?んだ。右手を軽く胸に押し当てて、深呼吸した。 「お、俺…黄瀬のこと…好き。だから…」 言葉が詰まり、口が渇き、続きの言葉が出ない。そして、赤井の目からは今にも涙が零れ落ちそうだった。 「ごめ…俺、何言ってんだろ。忘れて」 溜まった涙が頬を伝い、ぽたりと落ちて服を濡らした。赤井は手のひらで涙を拭い、軽く鼻をすすった。未だに黄瀬の腕が離れていかないことなど気にならないほど、赤井は自分の発した言葉に動揺していた。 その時だった。 「俺も…一つ言っていい?」 赤井は小さく頷いた。それを見た黄瀬は、回していた腕を解き立ち上がると、赤井の正面まで来て、今度は前から赤井の体を包んだ。 状況が掴めない赤井は、何もできずにただ呆然していた。声を出そうにも出せなかった。
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