第二章

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声が小さくなる私のばつの悪さに気付いたのか杏子がにやにやと意地の悪い笑みをうかべ言葉をつづけた。 「勝手に嫉妬して勝手に機嫌悪くなってるわけだ」 「・・・はい」 食堂奥に陣取って食事している元気のいい男子のグループの声にかき消されそうな、 というかそれを期待しての限りなく小さな声で答えた。 「修一さんすごいいい人なのに、何をしてるのかねこの子は・・・」 自慢の長い髪をいじくりながら杏子の言葉には答えず、無視をした。 無視すんな、と杏子の声が冗談っぽく言った。 それに微笑みで返し、時計を見ると5限目まで10分というところまで長針が迫っていた。 「教室もどろ」 そう言いながら立ち上がると杏子もそれに続いた。 杏子と話をするとあれほど恐怖を感じていたストーカーのことも取るに足らないことのように思えた。しかし、現実としてなにも変化はないのだ。 何も改善はされていないし、悪化する可能性だってある。 教室内にはたくさんの足音があった。
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