第一章

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12月の半ば、22時。 心臓が早鐘を打っているのは私が速足だからではない。 等間隔に並んでいる街灯はいわばセーブポイントのようで、その光の中に入るたびに少し、ほんの少しだけ安心できた。 しかし、いつまでも街灯の下にいるわけにはいかない。 足音は背後から近づいてくる。 背後のその姿も見ぬ何者かが駆けてきそうで私は振り返ることができず、ただひたすらに歩を進めるしかなかった。 駅から10分ほどのアパートまでが気の遠くなるほどに長く感じる。
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