第一章

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乱れた呼吸音を悟られそうで私は無理矢理に息をとめた。 外からはなんの気配もしない。 ドアののぞき穴に吸い込まれるように目を近付けた。 ふぅっと大きく息を吐く。 のぞき穴からは何も見えなかった。 簡単なもので扉を一枚隔てただけで安心して力が抜け、私は玄関にへたりこんだ。 ドアの向こう側からはもちろん何の音もない。 ただただ真っ黒な空間が広がっているのみだった。
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