第二章

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「やだ、それってストーカーってやつ?」 杏子は眉根をひそめ、自らの腕を抱きすくめた。 大学構内にある食堂はたくさんの学生の声で満ちていた。 「やっぱりそう思う?」 私の生活の中に不穏の影がおちたのは二カ月ほど前からになる。 2年生になり大学生活、それに半年ほど前にはじめたバイトにも慣れ、平穏な日々を過ごしていた私。 バイト先の靴屋で社会人の彼氏もでき、これから訪れる恋人同士の時間に胸をときめかせていた。いつものようにバイトを終え、4駅ほど離れた自宅の最寄り駅へと電車でむかう。 到着し、電車をおりる。 いつもの癖で左腕に巻いた腕時計を見た。 22時。 駅前の決して大きくない広場に焼き鳥の移動販売の車があり、帰り支度をすすめていた。 22時からのドラマの録画を忘れていた私の足音は間隔が短かった。
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