ある五十男の胸中

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 テーブルに置いてあるメガネをコッソリかけてみたり、現在より小さかった新聞の活字を虫メガネで覗いたりしたものだ。メガネのフレームは、光沢があって滑らかで、子供心に普通のものではないと感じていた。あとで知ったのだが、鼈甲(べっこう)製で、しかも真っ黒だったので、相当な高級品だったのではないかと思う。
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