2人が本棚に入れています
本棚に追加
交差点を渡りきったとき、少女は振り返った。今、あの日の少年がいた気がするな。しかしもはや、人混みに紛れて見えなくなっていた。
「…………」
少し考えて、まあいいか、と身体の方向を変えた。少年がいたとしたなら、どこかへ出かける途中だったのだろう。また、塾かな。だとしたら、帰ってきたときに驚かせてあげなくちゃ。
「私が救い出してあげると言った。だから、待っててね」
少女は、少年の家に向かって歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!