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コテージのトイレは、玄関廊下の先にある。ドアの前で、アケミが携帯をいじっていた。
ハルナ「ねえ、いる?」
アケミ「ああ、いるよ」
しばらく、この会話が続いた。水の流れる音が聞こえると、ハルナがトイレから出てきた。
ハルナ「はあ、すっきりした」
アケミ「よかった、はい、交代」
ハルナ「へ、アケミも行くの?」
アケミ「うん、待ってたら、行きたくなっちゃった」
ハルナ「あ、そう、じゃあ私、行くね」
アケミは一瞬固まった、それを見て、ハルナは笑顔を見せた。
ハルナ「うそうそ、冗談、どうぞどうぞ」
アケミはムスッとしながらトイレの扉を閉めた。
ハルナは扉の向かいの壁に寄りかかった。
すると、廊下の角から人の気配を感じた。
ハルナ「ん、ヒロト君?」
ハルナが角に近づこうとすると、ハルナは動きを止めた、口を閉じ、息も静かに止めた。
角の下を見ると、そこには白い服の裾が見えた。
ハルナは静かに後ずさりし、反対側の角に隠れた。
あの・・・外にいた・・・
ハルナは、角の陰から身を低くして、廊下の足元を陰から恐る恐る見つめた。
反対側の角からは誰も来ない、ハルナが視線をさらに下ろそうとした。
その時
不意に白い布が、角から廊下に掛けて進んできた。その布の下には、真っ白な足。
・・・あの女の人、中に入ってきた。
ハルナは静かに身体を角の陰に戻した。
間違いなく、私の方に歩いてきている。今から立ち上がって、そのまま逃げてもこの先は浴室しかない、でも、ここに隠れていても、ただ、距離が近づくだけ・・どうしよう・・・
ハルナは気配で察知した。
来る、床がきしむ足音が、確実に近づいている。
ガチャ
水の音と同時に、アケミがトイレのドアを開けた。
アケミ「ハルナ、いるよねー」
ハルナは身体が硬直して立てない、アケミの明るい声が、緊張感を引き立たせる。
確か、トイレのドアは向こう側に開くはずだ、ということは・・
ハルナは咄嗟に廊下に出ようした、しかし、足がもたついてうまく立てず、四つん這いの状態で廊下に飛び出した。
同じ瞬間
アケミはドアを閉めた
ドアと同じ位置に、その女は立っていた。
アケミはその女と向かい合い、立ちすくんでいた。
アケミ「あ、」
アケミがそう声を漏らした瞬間、女は両手を上に上げ、すばやくアケミに振り下ろした。
その直後、アケミは、操り人形の糸が切れたかのように、足から崩れ落ちた。
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