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ハルナ「私、アケミと二人でトイレに行って、トイレの外でアケミを待っていたら・・」
リビングは信じられないほど静かになった。皆が、ハルナの次の言葉を待っている。
ハルナ「・・・あの、外にいた女の人が、廊下の陰から出てきて・・・私は反対の角に隠れたんだけど、ちょうどアケミがトイレから出てきて・・」
ヒロト「それで?」
ハルナ「あの、女が、アケミを何かで殴ってた・・」
ハルナの言葉を聞くと、再びシズカの呼吸が荒くなった。今にも泣き出しそうなシズカの背中を、ケンタは必死に擦っていた。
ケンタ「マジかよ・・・ゆ、幽霊が人間を殺せるのかよ?」
ヒロト「わからないぜ、ここにいない、別の人間が変装して、おかしなことをしてるのかもしれないし・・・」
ケンタ「別の人間って誰だよ!あのおっさんか?何でこんな事すんだよ?」
ハルナは、首を横に振った。
ハルナ「あの、おじさんじゃない」
ケンタ「何でそんなことわかるんだよ!」
ハルナ「身長が全然違う、私が見た女は、ヒロト君よりも高かったと思う」
ヒロト「本当に?間違いない?」
ハルナ「うん、ヒロト君、アケミと同じくらいでしょ?私見たの、アケミがドアを閉めたら、すぐ横に女がいて・・・アケミよりも高かった」
ヒロトとナオコが顔を見合わせた。
ナオコ「すぐ横って・・アケミは女を見たの?」
ハルナ「うん、ちょうど、向かい合ってた・・」
ヒロト「それで、アケミちゃんはどうしたの?」
ハルナ「どうしたって?」
ヒロト「なんか、抵抗とかしなかったの?」
ナオコ「声も出さなかった?」
ハルナ「うん、確か、向かい合った瞬間、あ、って言った」
ナオコ「ちょっと・・・どういうこと?」
ヒロト「アケミちゃんが知ってる顔だったのかな?」
ケンタ「そうか、だから犯人は、ここまでついてきたってことか?」
ナオコ「え?わざわざこんな所に?」
ケンタ「ありうるだろ、アケミになんか恨みを持ってて、人気の無い場所で殺そうと・・」
ヒロト「いや、全然人気があるだろ、建物の中だし」
ナオコ「それにどうやってこの敷地に来るのよ、船使わないと来れないのよ?」
ケンタ「いや、すごい恨みを持ってたら、そこまでするかも・・・」
ハルナ「ねえ、みんな!」
ハルナは立ち上がり、皆を見回した。
ハルナ「アケミは、どこにいるの?」
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