幽霊に殺される

13/35
前へ
/35ページ
次へ
ハルナを注視していた皆の視線が、少しずつ下がっていく、口は閉じ、その顔色から、ハルナは不意にアケミの最後の顔を思い出した。 トイレに入る前の、ハルナに見せたため息交じりの笑顔を・・・ ハルナは、ゆっくりと腰を落とした。 ヒロト「本当は、ベッドに寝かせたかったけど、こういうのって警察に調べてもらうから・・・」 ナオコ「そうだ、警察、警察呼ばないと!」 ケンタ「ど、どうやって呼ぶんだよ?」 ナオコ「とりあえず、オーナーの事務所に行こうよ、電話もあると思うし」 ケンタ「で、誰が行くんだよ・・・」 ナオコ「え、いや、ここは男二人で行ってよ、二人だったら、幽霊が襲ってきても何とかなるでしょ」 ケンタ「冗談じゃねーよ!相手は幽霊だぞ!二人だろうがなんだろうが関係ねーだろ!」 ヒロト「それに、俺らが留守になった所を見計らって、あの女がまた入ってくるかも知れない」 ナオコ「じゃあ、どうすんのよ?」 ヒロト「朝まで居よう、下手に動くと、返って状況が悪化するかも知れないし」 シズカ「そもそもさあ、みんな、何でハルナの言うことを信用してるの?」 皆は、隅でうつむいていたシズカに顔を向けた。 ハルナ「え、どういうこと?」 シズカ「考えてみなよ、アケミと最後までいたの、ハルナだよ、何で二人きりでいた人の話を信じてるのかって言ってるの!」 ケンタ「シズカ・・・」 ヒロト「おい、シズカちゃん、どういう意味だよ」 シズカ「そのままだよ、アケミ殺したの、ハルナなんじゃないの?」 どこから聞こえるため息の声、しかし、シズカの目は、真っ赤に充血して、ただ、ハルナを睨んでいた。 ハルナ「ひどい・・なんでそんなこと言えるの?」 ヒロト「そうだよ、大体、何でハルナちゃんがアケミちゃんを殺さないといけないんだよ」 シズカは明らかにヒロトに向けて、鼻で笑った。 シズカ「甘いよ、ヒロト、女はね、男にはわからない位、嫉妬深いんだよ、しかも、ほんの些細なことでね、ハルナ、ヒロトのこと、好きなんでしょ?」 ヒロトは驚いた目でハルナを見た。 ハルナ「え、いや・・」 ヒロト「だ、だったらなんなんだよ?」 シズカ「アケミはねえ、ヒロトのことが好きだったんだよ、あんた、それに気づいてたんじゃないの?」 ナオコ「うわ・・・今、それ言う?」 ヒロト「いい加減にしろよ!」 シズカ「はあ?よく言うわ、あんたも気づいていたくせに」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加