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ハルナを注視していた皆の視線が、少しずつ下がっていく、口は閉じ、その顔色から、ハルナは不意にアケミの最後の顔を思い出した。
トイレに入る前の、ハルナに見せたため息交じりの笑顔を・・・
ハルナは、ゆっくりと腰を落とした。
ヒロト「本当は、ベッドに寝かせたかったけど、こういうのって警察に調べてもらうから・・・」
ナオコ「そうだ、警察、警察呼ばないと!」
ケンタ「ど、どうやって呼ぶんだよ?」
ナオコ「とりあえず、オーナーの事務所に行こうよ、電話もあると思うし」
ケンタ「で、誰が行くんだよ・・・」
ナオコ「え、いや、ここは男二人で行ってよ、二人だったら、幽霊が襲ってきても何とかなるでしょ」
ケンタ「冗談じゃねーよ!相手は幽霊だぞ!二人だろうがなんだろうが関係ねーだろ!」
ヒロト「それに、俺らが留守になった所を見計らって、あの女がまた入ってくるかも知れない」
ナオコ「じゃあ、どうすんのよ?」
ヒロト「朝まで居よう、下手に動くと、返って状況が悪化するかも知れないし」
シズカ「そもそもさあ、みんな、何でハルナの言うことを信用してるの?」
皆は、隅でうつむいていたシズカに顔を向けた。
ハルナ「え、どういうこと?」
シズカ「考えてみなよ、アケミと最後までいたの、ハルナだよ、何で二人きりでいた人の話を信じてるのかって言ってるの!」
ケンタ「シズカ・・・」
ヒロト「おい、シズカちゃん、どういう意味だよ」
シズカ「そのままだよ、アケミ殺したの、ハルナなんじゃないの?」
どこから聞こえるため息の声、しかし、シズカの目は、真っ赤に充血して、ただ、ハルナを睨んでいた。
ハルナ「ひどい・・なんでそんなこと言えるの?」
ヒロト「そうだよ、大体、何でハルナちゃんがアケミちゃんを殺さないといけないんだよ」
シズカは明らかにヒロトに向けて、鼻で笑った。
シズカ「甘いよ、ヒロト、女はね、男にはわからない位、嫉妬深いんだよ、しかも、ほんの些細なことでね、ハルナ、ヒロトのこと、好きなんでしょ?」
ヒロトは驚いた目でハルナを見た。
ハルナ「え、いや・・」
ヒロト「だ、だったらなんなんだよ?」
シズカ「アケミはねえ、ヒロトのことが好きだったんだよ、あんた、それに気づいてたんじゃないの?」
ナオコ「うわ・・・今、それ言う?」
ヒロト「いい加減にしろよ!」
シズカ「はあ?よく言うわ、あんたも気づいていたくせに」
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