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ヒロトは、無意識にハルナの顔を見た。
ハルナも、ヒロトのことを見ていた。眉間にしわを寄せ、何かに怯えた表情を見せている。
ヒロトはその顔を見て、ただうつむくことしか出来なかった。
ナオコ「シズカ・・・やめなよ、ハルナもショック受けてるんだしさ・・・」
ケンタ「そうだよ、だったとしてもさ、親友を殺したりなんかしないだろ」
シズカ「ケンタ、あんたその場にいたわけ?何で、絶対に殺さないってわかるのよ?」
ケンタ「いや、それは・・・」
シズカ「本当に何が起こったかなんて、その場にいた人にしかわからないよね?そうでしょ、ハルナ?」
シズカはそう言いながら、ハルナを見た。ハルナもシズカを見ていた、目は充血して、唇は震えていた。
ヒロト「だったら、外にいた女が殺した可能性だってゼロじゃないよな?シズカちゃんだってその場にいなかったんだから」
シズカ「玄関からトイレの廊下まで行くとき、このリビングのドアの前を通らなきゃいけないよね?私たちがここにいたとき、女が通ったのを誰か見た?」
ヒロト「・・・いや」
シズカ「アケミが倒れた音を聞いて、ヒロトとケンタが廊下に出たよね?その時、あの女とすれ違った?」
ケンタ「ンなわけねーだろ、すれ違ったら、俺卒倒してるよ」
シズカ「ほら・・・ハルナ以外、誰も見てないのよ、それが何よりの証拠じゃない?」
ヒロト「それは、相手が幽霊だからだよ!」
ケンタ「そうだよ、だから消えたんじゃないのか?」
シズカ「幽霊・・・都合のいい存在ね・・」
ナオコ「もういいよ!わかった、私が行く」
ヒロト「行くって・・どこに?」
ナオコ「オーナーの所、そこで警察呼んでもらう、皆はここで待ってて」
ナオコはキッチンに入って、懐中電灯を取り出した。
ケンタ「マジかよ?一人で行くの?」
ナオコ「皆怖いんでしょ?私はね、意外とこういうの平気なんだ」
ヒロト「やめとけよ、幽霊が出たらどうすんだよ」
ナオコ「私ね、足にも自信あるの、競争してみる?」
ナオコはそう言って、ヒロトに自分の足を差し出した。
ヒロト「いや、いいよ・・・」
ナオコ「冗談よ!大丈夫、返って、外の方が広いから逃げやすいし」
ケンタ「いや、だから幽霊だったら早いとか関係ないんじゃ」
ナオコ「それに、このままじゃ、本当にシズカを引っ叩きたくなるし」
ケンタ「・・・・」
ナオコ「ケンタ、シズカの事、よろしくね・・・」
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