幽霊に殺される

16/35
前へ
/35ページ
次へ
シズカ「え・・」 ケンタ「ちょっと・・・」 ヒロト「え、ハルナちゃん?」 三人が呆気に取られる中、ハルナはためらい無く扉を開け、素早く外に飛び出して行った。 ヒロト「ちょ、ハルナちゃん!」 ガチャ・・・玄関の扉が静かに閉まった。 ハルナは外灯の方に向かって歩き始めた、進むに連れて、コテージの明かりが遠のいていく。 ハルナは、進むに連れて背後の明かりが消えていくのを感じている。自然と交互に踏み込む足も速くなっていった。 ナオコさん、私を庇ってくれた、ナオコさんもショックを受けてたはずなのに・・・ 外灯にたどり着いたハルナは、海に向かう道を見渡した。間の前を覆う闇夜が、森と道との境界線を消している。 ハルナが目を凝らして道の奥を見ると、外灯の明るさで見えなかったが、僅かに人影が見える。 ナオコさん・・・ ハルナは確信した。玄関で、ナオコが羽織っていた白蛍光のジャンパー、ハルナは思わず走り出した。 ナオコは、奥へと進んでいく、ハルナは追いつこうと走り続ける。 ハルナは緩やかな曲がり道に差し掛かったとき、ナオコを見失ってしまった。 ハルナは、急いで曲がり道を抜けたが、その数十メートル先、ナオコは立ち止まっていた。 ナオコが立ち止まった、その先・・・・白い布が夜風になびいている。 あの、女・・・ さっき、廊下で見たときと同じ服装、白のワンピース、顔は髪で覆われていて見えない。 あの女が、アケミの時と同じように、ナオコと向かい合って直立不動で立っていた。 ハルナ「ナオコさん!」 ナオコは、ハルナの声を聞いて振り返った。   ハルナは、目の前の光景が理解できなかった。 ナオコはこっちを向いている。そのすぐ後ろに、あの女が立っている。 しかし、ナオコは逃げることも無く、それどころか、微かな笑みを浮かべてハルナを見ていた。 ナオコは後ろの影が動いたことに気づき、再び向きを変えた。 ナオコの目の前で、女が両手を上げている。 ハルナは目を見開いた。 アケミと同じ・・ そう思った直後だった。 ナオコ「え・・・」 女は、両手を鋭く振り下ろした。 ゴッ、という鈍い音の後、ナオコは大きく揺れながら、積み木が崩れるように倒れていった。 ハルナの視界から、ナオコが消え、女がただ、立ち尽くしていた。 ハルナはこの現実を、悲鳴を上げることで拒絶した。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加