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虫の音も殺されたかのような静かな森の中を、ヒロトはひたすら突き進んでいた。
ヒロトは、ハルナを一人で出て行ったことを後悔していた。自分があの時、付いて行ってあげたら、最悪な事態を想像したヒロトは、ケンタの静止を聞かずにハルナの後を追っていった。
ハルナの悲鳴をヒロトが聞いたのは、外灯に辿り着いた直後であった。
ヒロトは全速力で悲鳴が聞こえた場所へ向かった。
そこには、放心状態のハルナが、道の真ん中に座り込んでいた。
ヒロト「は、ハルナちゃん・・・」
ヒロトの声に、ハルナは反応することが出来ない。ハルナは道の先を呆然と見つめていた。
ヒロトは、自然とハルナの視線の先を目で追っていった。
視線の先には・・・何かが、道の真ん中に広がっている。
ヒロトは少しづつ、その「何か」に近づいた。
ヒッ・・・・
そこには、頭部から血を流したナオコが、うつ伏せの状態で倒れていた。足はうずくまるように折り曲がり、両手を広げ、首は折れているかのように不自然な向きをしている。
意識はあるのか
ヒロトは僅かな可能性を考えたが、ナオコの目を見た瞬間、ヒロトの思いは絶望へと変わっていった。
ナオコの目は、大きく見開いたまま動くことはなかった。瞳孔は石のように生気が無く、頭部の血が、徐々に目頭をつたって、ナオコの瞳を赤く染めていった。
ヒロトは、足をよろめきながらハルナの元に戻っていった。
ヒロト「ハルナちゃん、あれは・・・」
ハルナは反応しなかった。足を崩して座り込んだまま、座った目でナオコの方向を見つめている。
ヒロトは無言でハルナの肩を抱きかかえた。
ハルナの体は石のように硬直している。ヒロトはさらに強く、ハルナを抱きしめると、微かに、そして途切れることなく震えていた。
ヒロトはそのままハルナを起こし、肩を支えながら、コテージに足を向けた。
ヒロトが歩く道先が除所に明るくなっていく、ヒロトは顔を上げると、コテージの明かりがヒロトとハルナを照らしている。
ヒロト達が玄関の扉を開けると、ケンタがリビングから飛び出してきた。
ケンタ「さ、さっきの悲鳴は・・・」
ヒロトはケンタを見つめたまま、何も答えずにハルナを玄関に座らせ、靴を脱ぎ始めた。
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