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あたりは、コテージの明かりを残して、暗闇に包まれていた。町からかなり離れているだけに
、六人の笑い声のほかには、浜辺から聞こえるさざ波の音と、コテージの裏から聞こえる木々の葉がすり合わせる音のみであった。
六人は食事を済ませ、リビングでゲームを楽しんでいた。
ハルナ「ふう、あっつー」
ハルナは手で顔を仰いで、階段に向かった。
アケミ「ハルナ、どこ行くの?」
ハルナ「二階のバルコニーで涼んでくる」
ハルナは両手を合わせて、ごめんのポーズを取った。ヒロトを除いた余人はハルナにバイバイと手を振った。ハルナがドンドンと階段を上っていくと、アケミは、ヒロトに顎で合図を送った。
ヒロトが追いかけるように階段を上がっていく、四人はニヤ付きながら、二人の行方を見届けた。
ハルナは一室のバルコニーで、夜空を眺めていた。空は無数の星が光っている。
しばらくして、ヒロトがバルコニーに姿を現した。ハルナは軽く会釈をして、ヒロトも会釈を返した。
ハルナ「運転、お疲れ様でした」
ヒロト「いえいえ、ハルナちゃんも疲れたんじゃない?」
ハルナ「うん、ちょっとね・・」
ヒロトは少し深呼吸をした、いろいろ話したいのに、うまく口が動かない。
ヒロト「あのさあ、今度、あいつ、ケンタとシズカちゃんと遊園地に行くんだけど、ハルナちゃんも来ない?」
ハルナ「へえ、ケンタ君と?いきなりだなあ」
ヒロト「あ・・・ご、ごめんやっぱ、いきなりだったかな」
ハルナ「いいよ!私でよければ・・・」
ヒロトは呆気にとられていたが、次第に笑顔になった。
それを見て、ハルナも笑顔になった。
その時
一階から必死に階段を駆け上がる音が聞こえた。二人は音がする方に注目した、見ると、アケミが息を切らして、入り口にもたれ掛かっている。
アケミ「ちょ・・ちょっと来て・・二人とも・・」
ヒロトとハルナは顔を合わせ、アケミと一緒に階段を下りていった。三人が一階に着くと、シズカが一人で立ちすくんでいる。顔色は悪く、両腕を組んだまま、下を向いている。
ハルナ「シズカちゃん、どうしたの?」
シズカは何も答えず、顔を玄関の窓に向けた。窓には、ケンタとナオコが張り付くように外を見ていた。
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