1人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒロト「なんだ?どした?」
ヒロトが窓に近づくと、ケンタが必死になってヒロトをしゃがませた。
ケンタ「静かにしろ、あれ見てみろ、浜辺に向かう道のわき」
ヒロトはめを細くして、外を見つめた。
コテージは浜辺へ向かう道が一つだけある。両脇は木々が覆い茂っていて、暗闇なっていた。
しかし
その暗闇の中に違和感のある物体を見つけた。
ヒロト「なんだ、あれ?」
ヒロトはさらに目を凝らすと、物体は白い、長細いものがわかった。
そして、ケンタの一言が、ヒロトの予想を確信へと導いた。
ケンタ「女だよ、あれ」
白く、長細いもの、それはワンピースのような衣類を身に着けた人間の胴体であった。
ヒロト「女?」
ヒロトは、視線を胴体から上に向けた。確かに、両側に腕のようなものが見える。さらに上を向くが、頭部は真っ暗になっていた。
ヒロト「どうなってんだ、あれ・・」
ケンタ「だから、女が立ってるんだよ!たぶん、頭は髪の毛か、うつむいてて見えないんだ」
ヒロト「マジかよ・・・あのおじさん、他に客がいるって言ってたっけ?」
ケンタ「しらねえ、でもコテージはこの施設でここだけだってよ」
ナオコ「その、おじさんの知り合いなんじゃないの?」
ケンタ「いやあ、家族がいるって感じじゃなかったけど」
ヒロト「おい、あれ、足元・・・」
三人が視線を落とすと、一瞬で空気が張り詰めるのを感じた。
ケンタ「おい、足元透けてねえか?」
ナオコ「嘘でしょ・・・」
見ると、ちょうど、草むらとワンピースの境目、女の後ろで揺れている木の枝が、上下するたびに、先端がワンピースの中で動いているのが見えていた。
ハルナ「ねえ、どうしたの?」
ハルナはヒロトの後ろから窓を覗こうとしたが、ヒロトの背中に邪魔されて、外が見えない」
あ、こっち見た!
誰かの言葉と同時に、三人は突然窓下に伏せ始めた。
しかし、
ハルナはその状況がわからず、
ハルナだけが、
その瞬間、
外の景色を見つめていた。
え・・・なにあれ・・
ヒロトがそれに気づくと、すばやくハルナの手を下に引き込んでいった。
ナオコは急いでにカーテンを閉め、全員リビングに戻っていった。
最初のコメントを投稿しよう!